インタビューの文字起こしはAIでどこまで?人力との差は200倍、ただし出るのは素起こしだけ

インタビューの文字起こしはAIでどこまで?人力との差は200倍、ただし出るのは素起こしだけ AIサービス

※本記事にはプロモーションが含まれる場合があります。

1時間のインタビューを文字にするとき、選択肢は3つあります。専門業者に外注する、クラウドソーシングで人に頼む、AIツールを使う。

料金を1分あたりで並べると、差は歴然としています。

  • 専門業者:1分220円(税込・標準コース)=1時間で13,200円
  • AIツール:月1,980円で月1,800分まで=1分あたり約1.1円

1分あたりで比べると、約200倍の開きがあります。

ただし、この数字だけで決めると失敗します。理由は1つです。AIが出すのは「素起こし」で、専門業者の220円には「ケバ取り」と確認作業が含まれているからです。同じ「文字起こし」という言葉でも、納品されるものが違います。

この記事では、2026年8月23日時点で各社の公式料金を確認したうえで、インタビューを記事にするまでに何の工程が必要かを整理します。

費用の比較(1時間のインタビュー1本あたり)

方法 料金 出てくるもの
専門業者(標準コース) 13,200円(1分220円・税込) ケバ取り済みの原稿
専門業者(リライトコース) 19,800円(1分330円・税込) 読める文章に整えた原稿
クラウドソーシング 案件により5,000〜30,000円が中心帯 依頼内容による
AIツール(Notta プレミアム) 月1,980円(税込・月1,800分まで) 素起こし(発言のまま)
AIツール(無料プラン) 0円 1回3分まで=インタビューには使えない

専門業者の料金は「録音時間(分)× 基本料金」で計算され、秒は繰り上げです。1時間の音声なら60分として計算されます。

AIが安くなるのは「量を使う場合」だけ

ここは誤解されやすいので、正確に書きます。

Nottaのプレミアムは月1,980円で月1,800分(30時間)まで使えます。枠を使い切れば1分あたり約1.1円ですが、月に1時間しか使わなければ、その1本に1,980円払っていることになります。

月の利用量 1時間あたりの実質コスト
月1時間(1本) 1,980円
月5時間 396円
月30時間(枠いっぱい) 66円

月1本だけなら、専門業者の13,200円に対して1,980円。約6.7倍の差です。それでも安いですが、「200倍」という数字が出るのは月30時間使った場合の話だと理解しておいてください。

【重要】素起こし・ケバ取り・整文は別の作業

インタビューの文字起こしには、業界で使われる3つの段階があります。この違いを知らないまま発注すると、期待と違うものが届きます。

段階 内容
素起こし(逐語起こし) 聞こえたままをすべて文字にする 「えー、そうですね、あの、まあ、はい、そう思います」
ケバ取り 「えー」「あの」などの不要語を削る 「そうですね、そう思います」
整文(リライト) 読める文章に整える 「はい、そう思います」

AIツールが出すのは、基本的に素起こしです。 「えー」「あの」「まあ」がそのまま入ります。1時間のインタビューなら、この状態で2万〜3万文字になります。

一方、専門業者の標準コース(1分220円)にはケバ取りが含まれます。だから料金が違うわけです。リライトコース(1分330円)まで頼むと、整文まで済んだ原稿が届きます。

「AIは200分の1の値段」ではなく、「AIは素起こしまでを200分の1の値段でやる」というのが正確な理解です。

ケバ取りと整文は、AIにやらせられる

ここが本題です。素起こしさえあれば、ケバ取りと整文は生成AIで処理できます。 追加費用はかかりません。

指示はこれで十分です。

以下はインタビューの文字起こしです。「えー」「あの」「まあ」などの言いよどみを削り、意味を変えずに読める文章に整えてください。 発言の順序と内容は変えないでください。話者が複数いる場合は、話者ごとに分けてください。

「要約して」と書かないことが重要です。要約すると発言が失われます。インタビュー記事では、削るのは言いよどみだけにしてください。

長い文字起こしは一度に投げず、見出しや話題の区切りごとに分割して処理します。AIが一度に読める量には上限があるためです。

AIツールはどこまでやってくれるか

Nottaの公式プランを例に、実際の仕様を確認します(2026年8月23日時点)。

項目 フリー プレミアム(月1,980円) ビジネス(月4,180円)
月間の文字起こし 120分 1,800分 無制限
1回の長さ 3分まで 5時間まで 5時間まで
ファイルのインポート 50個/月 100個/月 200個/月
話者識別 あり あり
AI要約 月10回 月100回 月200回

インタビュー用途でいちばん効くのは「1回の長さ」です。 フリープランは1回3分なので、30分のインタビューが1本も通りません。無料で試せるのは「精度の確認」までで、実務には使えないということです。

そして話者識別が有料プランからである点も、インタビューでは重要です。話者が分かれていない文字起こしは、後から誰の発言かを聞き直すことになり、時間が余計にかかります。

インタビュー1本を最後まで通せるかを、先に確かめてください
Nottaのフリープランは月120分使えますが、1回の録音が3分までです。30分のインタビューを1本通すにはプレミアム(月1,980円・税込)が必要で、こちらは1回5時間・月1,800分・話者識別つきになります。専門業者に外注すると1時間で13,200円かかることを考えると、月に1本でも外注していたなら、切り替えで元は取れる計算です。
👉 Nottaの料金プランを見る

他社も含めた比較はAI議事録ツール比較8選に、無料で使えるものだけを集めた検証は無料で使えるAI議事録8選にまとめています。

文字起こしの書き方(表記ルールの実例)

「どう書けばいいか」で迷う部分は、だいたい決まっています。実例で示します。

話者の表記

インタビューでは発言者が2人以上なので、冒頭で誰が誰かを定義します。

――お仕事の内容を教えてください。
山田:はい、主に営業を担当しています。

インタビュアーの質問は「――」で始めるのが慣例です。回答者は氏名または「A」「B」で統一します。途中で表記を変えないことだけ守れば十分です。

ケバ取りの範囲

削るものと残すものの目安です。

扱い 対象
削る 言いよどみ、意味のない繰り返し えー、あの、まあ、その、えっと
削る 相づち(文脈上不要なもの) はい、ええ、なるほど
残す 感情や間が伝わる表現 「(笑)」「少し考えて」
残す 言い直しの内容が変わった箇所 「3年、いや4年前です」

判断に迷ったら残してください。 削りすぎた原稿は元に戻せませんが、残っているものは後から削れます。

聞き取れなかった部分

推測で埋めないでください。慣例として記号で示します。

導入したのは(聞き取れず)年の春でした。

音声を聞き直しても分からない箇所は、発言者への確認事項として残すのが安全です。取材対象者に原稿確認を依頼するとき、この印があると質問しやすくなります。

取材前・取材中・取材後にやること

工程を分けておくと、後の作業が軽くなります。

取材前

  • 録音機材を決める。PCの内蔵マイクは避ける
  • 文字起こしツールを起動できる状態にしておく
  • 固有名詞のリストを作る(社名・製品名・人名)。後の一括置換に使います

取材中

  • 冒頭で録音することを伝える
  • 発言が重なったら、一度区切る。後の話者識別が楽になります
  • 重要な発言の時刻をメモする。あとで頭出しできます

取材後(当日中)

  • その日のうちに文字起こしを回す。記憶が残っているうちなら、誤変換に気づけます
  • 固有名詞を一括置換する
  • ケバ取りと整文をAIに投げる

「あとでまとめてやる」が、いちばん時間を食います。取材直後の30分が最も効率が高い時間帯です。

人に外注する場合(クラウドソーシングの実勢)

専門業者ではなく、クラウドソーシングで個人に依頼する選択肢もあります。2026年8月23日にクラウドワークスで「文字起こし」の募集を検索したところ、該当2,935件でした。表示された50件の報酬帯を数えると、次の分布です。

報酬帯 件数
契約金額はワーカーと相談する 10件(最多)
〜5,000円 8件
10,000〜30,000円 7件
30,000〜50,000円 4件
50,000〜100,000円 3件

最も多いのが「金額は相談」というのが実態です。作業量が音声の長さと質で変わるため、事前に固定しにくい性質があります。

また、50件のうち29件は契約が0人でした。応募は延べ1,651人ある一方、契約は延べ129人です。発注側から見ると「募集しても決まらない」ことがあるということでもあります。

この分野を副業として見る場合の考え方は、AI副業の実態を案件53件で検証にまとめました。

インタビュー特有の落とし穴4つ

会議の議事録とインタビューでは、詰まる場所が違います。

1. 話者が2人以上で、交互に話す

会議は発言が長く区切りが明確ですが、インタビューは相づちが多く、発言が重なります。「はい」「なるほど」が話者Aの発言として混ざると、後の整理が面倒になります。

対策は、録音時にマイクを分けるか、話者識別のある有料プランを使うかのどちらかです。

2. 固有名詞が多い

インタビューでは社名・人名・製品名が頻出します。AIの文字起こしで最も誤変換が出る箇所です。

対策は2つ。辞書登録の機能があれば事前に登録すること。それができない場合は、テキストエディタの一括置換で機械的に直すほうが早く終わります。毎回同じ誤変換をするので、置換リストを作っておくと再利用できます。

3. 1時間を超える

インタビューは1時間を超えることがあります。1回あたりの上限を必ず確認してください。Nottaのプレミアムなら1回5時間なので問題ありませんが、無料プランは3分です。

4. 音質が悪いと、どのツールでも精度が落ちる

カフェでの取材、電話取材、オンライン取材で回線が不安定だった場合、精度は目に見えて落ちます。ツールを変えるより、録音環境を整えるほうが効果があります。

最も費用対効果が高いのは、PCの内蔵マイクを使わないことです。内蔵マイクは打鍵音や空調音を一緒に拾います。

インタビュー用にツールを選ぶときの5項目

議事録向けの比較記事では触れられないことが多い、インタビュー特有のチェック項目です。

1. 1回あたりの上限時間
最も重要です。インタビューは1時間を超えることがあります。月間の合計だけを見て契約すると、1本目で止まります。無料プランが1回3分という例もあるので、必ず「1回」の上限を確認してください。

2. 話者識別があるか
2人以上の会話では、これがないと後の整理に時間がかかります。多くのサービスで有料プラン以上の機能です。

3. 音声ファイルの取り込みができるか
ICレコーダーやスマホで録った音声を、あとから読み込めるかどうか。リアルタイム録音しかできないツールは、取材には向きません。取り込み回数に月間上限があるサービスもあります。

4. 書き出し形式
テキスト、Word、字幕形式など。原稿を書くソフトにそのまま持っていける形式があるかを見てください。

5. 編集画面で音声と文字が連動するか
「この部分、なんて言ってた?」を確認するとき、該当箇所の音声に飛べるかで作業時間が変わります。文字を追いながら聞き直せる設計かどうかは、実際に使うと差が大きい部分です。

1と3は、無料プランでは制限されていることが多い項目です。試用のときは、この2つを最初に確認してください。

1本を原稿にするまでの時間の内訳

「AIで何時間短縮できるか」を、工程ごとに分けて考えます。1時間のインタビューを想定した目安です。

工程 手作業のみ AIを使う場合
素起こし 3〜4時間 数分
固有名詞の修正 (素起こしに含む) 10〜20分
ケバ取り 30〜60分 数分(AIに指示)
整文 1〜2時間 30〜60分(人が確認)
事実確認・原稿確認 変わらない 変わらない

短縮されるのは素起こしとケバ取りで、整文と確認は残ります。 つまり「1時間の取材が10分で記事になる」わけではありません。それでも、最も単調で時間のかかる工程が消えるため、体感の負担は大きく変わります。

逆に言うと、整文と事実確認を省こうとすると品質が落ちます。ここはAIに任せきれない部分だと考えてください。

使い分けの基準

3つの選択肢は、こう使い分けると無駄がありません。

AIツールを使う

  • 月に複数本ある
  • 自分で原稿を書くので、素起こしで足りる
  • 費用を抑えたい
  • 内容を社外に出せない(外注できない)

専門業者に外注する

  • 納品物の品質が仕事の質に直結する(掲載記事、書籍、公的な記録)
  • 本数が少なく、自分の時間のほうが高い
  • 音質が悪く、AIでは精度が出ない

併用する

  • AIで素起こし → 自分でケバ取りと整文が、実務ではいちばん多い形です
  • 重要な案件だけ外注、日常の取材はAI、という分け方もあります

判断の軸は「文字にする」ではなく「原稿にするまでに何時間かかるか」です。 AIで素起こしまで済んでいれば、整文にかかる時間は大きく減ります。

録音の許諾とデータの扱い

技術の話とは別に、必ず押さえる点です。

1. 録音は事前に伝える
取材では当然のマナーですが、オンライン取材でも同じです。冒頭で「記録のため録音します」と伝えてください。

2. 文字起こしデータの保存先を確認する
クラウド型のサービスは、音声とテキストがサーバーに保存されます。取材対象者の個人情報や未公開情報を含む場合、どこに保存されるかは確認が必要です。

3. AI学習に使われるかを確認する
サービスによっては、AI学習に使わない設定が上位プラン限定になっています。社外に出せない内容を扱うなら、契約中のプランでその設定が有効かを確かめてください。各社の扱いは生成AIとは?初心者が最初に知るべき3つで比較しました。

4. 公開時の扱い
インタビュー記事を公開する場合、発言者に原稿を確認してもらうのが通例です。文字起こしの精度に関わらず、この工程は省けません。

よくある質問

Q1. 無料でインタビューの文字起こしはできますか?

30分のインタビューを1本通すのは難しいのが実情です。 Nottaのフリープランは月120分使えますが1回3分までなので、インタビューには使えません。無料で試せるのは「変換精度の確認」までと考えてください。

Q2. 専門業者とAI、どちらが安いですか?

量によります。 専門業者は1分220円(税込・標準コース)なので1時間13,200円。AIは月1,980円で月1,800分まで使えるため、月に複数本あるならAIが圧倒的に安くなります。月1本だけでも1,980円 vs 13,200円で、AIのほうが安い計算です。

Q3. AIの文字起こしはそのまま記事に使えますか?

使えません。 AIが出すのは素起こしで、「えー」「あの」がそのまま入ります。ケバ取りと整文が別工程として必要です。ただしこの工程は生成AIに任せられます。

Q4. 話者の区別はできますか?

有料プランなら可能です。 Nottaの場合、話者識別は有料プランの機能です。ただし相づちが多い場面では完璧ではないので、確認は必要です。

Q5. どのくらい時間が短縮できますか?

素起こしの工程がほぼゼロになります。 1時間の音声を人が手作業で起こすと、一般に3〜4時間かかると言われます。AIなら数分です。ただしケバ取りと整文、固有名詞の修正は残るため、「1時間の取材が1時間の作業で原稿になる」わけではありません。

Q6. 誤変換が多いときはどうすればいいですか?

録音環境を先に直してください。 内蔵マイクをやめる、静かな場所で録る、一人ずつ話す。この3つで精度は大きく変わります。それでも残る固有名詞の誤変換は、一括置換で機械的に処理するのが早いです。

Q7. Zoomの文字起こし機能では足りませんか?

Zoomの機能は有料アカウント(Pro以上)が必要で、出力はVTTという字幕ファイルです。 話者ごとに整理された原稿ではありません。詳しくはZoomの文字起こしができない4つの原因にまとめました。

まとめ

  • 1分あたりの料金は、専門業者220円に対しAIは約1.1円。ただしこの差が出るのは月30時間使った場合です
  • 月1本でも、1,980円 vs 13,200円でAIのほうが安く済みます
  • AIが出すのは素起こし。専門業者の220円にはケバ取りが含まれます
  • ケバ取りと整文は生成AIに任せられます。「要約して」ではなく「言いよどみを削って」と指示してください
  • 無料プランは1回3分なので、インタビューには使えません

判断の基準は「文字にできるか」ではなく、「原稿になるまでに自分が何時間使うか」です。素起こしをAIに任せて、整文を自分でやる。この形が、費用と品質のバランスとしては現実的です。

次に読む記事

(本記事の料金は2026年8月23日時点で各公式サイトを確認したものです。改定される場合があるため、依頼前に最新の金額をご確認ください。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました