生成AIの情報漏洩を防ぐ設定|「学習させない」にしても、データは消えていなかった

生成AIの情報漏洩を防ぐ設定|「学習させない」にしても、データは消えていなかった AIサービス

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「学習させない設定にしたから大丈夫」——生成AIの情報漏洩対策として、いちばんよく聞く答えです。

各社の公式ヘルプを2026年9月1日に読んだところ、この理解では足りないことが分かりました。

  • ChatGPT:チャットを削除しても、アップロードしたファイルは「ライブラリ」に残り続けます(チャットとファイルは別管理)
  • Claude:学習に使うことを許可すると、保持期間が30日から最大5年に伸びます
  • Gemini:アクティビティの保存をオフにしても、会話は最長72時間保存され、しかも人間のレビュアーが読む場合があります

「学習させない」と「保存されない」は別の話です。 そして「まったく保存されない」という選択肢は、どのサービスでも上位プランに限られていました。

先に結論を書きます。

  • 設定でできるのは「学習に使わせない」ことまで。保存そのものは止まりません
  • 🔴 ChatGPTでファイルを扱うなら、チャットの削除だけでは不十分。ライブラリを別に確認してください
  • 🔴 Claudeは設定次第で保持期間が30日と5年に分かれます。どちらになっているか今すぐ確認する価値があります
  • 🔴 Geminiはオフにしても人間が読む可能性が残ります
  • 本当に外に出せない情報は、そもそも入力しない。これが唯一確実な対策です

この記事の調べ方

各社の公式ヘルプセンターの記述だけを使っています。事故の事例や報道は扱いません(対策の判断材料にならないためです)。

確認先 取得できたか
OpenAI ヘルプ「チャットおよびファイルの保持ポリシー」(日本語) ✅ 削除後30日・ライブラリの別管理
Anthropic プライバシーセンター ✅ 30日/5年の分岐
Google「Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する」(日本語) ✅ 18か月・72時間・人間のレビュー
ElevenLabs 公式ドキュメント ✅ Zero Retention の対象範囲

3サービスの保持ポリシー比較

ChatGPT Claude Gemini
学習をオフにする方法 プライバシーポータルで「Do not train on my content」/一時チャット プライバシー設定で選択 アクティビティの保存をオフ
既定の保持期間 手動削除するまで 30日(学習を許可しない場合) 18か月(3・36か月・無期限に変更可)
学習を許可した場合 🔴 最大5年(匿名化した形で学習パイプラインに保持)
削除したときの扱い 即座にアカウントから消え、30日以内にシステムから完全削除
オフにしても残るもの 一時チャットも30日以内に削除 🔴 最長72時間は保存される
人間が読む可能性 🔴 オフでも一時チャットでもレビューされる場合がある
🔴 見落としやすい点 ファイルはチャットと別管理。チャットを消しても残る 設定変更はその後の新規・再開チャットにのみ適用 既定が18か月と長い

① ChatGPT:チャットを消しても、ファイルは残る

この記事でいちばん実務に効く一点です。

OpenAIの公式ヘルプに、こう書かれています。

会話中にアップロードされたファイル(例:ドキュメント、画像)は、ライブラリがお使いのアカウントまたはワークスペースで利用可能な場合、ライブラリに保存されます。チャットとライブラリのファイルは別々に管理されます。チャットを削除しても、ライブラリに保存されたファイルは削除されません。

資料をアップロードして、あとからチャットだけ削除した場合、ファイルは残っています。

「機密資料を読ませたが、チャットを消したから大丈夫」という理解は成り立ちません。ライブラリを開いて、そこから削除する必要があります。

チャットそのものの保持

  • チャットは手動で削除するまでアカウントに保存されます
  • 削除すると即座にアカウントから消え、30日以内にOpenAIのシステムから完全に削除されます
  • ただし例外があります。すでに匿名化されて関連付けが解除されている場合と、セキュリティまたは法的義務のためにより長く保持する必要がある場合です
  • 削除したチャットは復元できません

一時チャット

一時チャットは履歴に残らず、メモリを使わず作らず、モデルの学習にも使われません。ただし30日以内に自動削除であって、即座に消えるわけではありません。

カスタムGPTとプロジェクト

カスタムGPTやプロジェクトにアップロードしたファイルは、そのGPTまたはプロジェクトが削除されるまで保存されます。削除後は30日以内に消えます(法的・セキュリティ上の例外を除く)。

② Claude:設定ひとつで、30日が5年になる

Anthropicは保持期間が設定によって分岐するという、他社にない構造を持っています。

設定 保持期間
学習への利用を許可しない 30日
学習への利用を許可する 🔴 最大5年(匿名化した形式で、モデル学習パイプラインに保持)

対象はFree・Pro・Maxアカウントで、これらのアカウントから使うClaude Codeも含まれます

注意点が2つあります

① 設定は「その後」にしか効きません。

5年の保持が適用されるのは、設定を有効にしたあとの新規チャットまたは再開したチャットです。過去のチャットに遡って適用されるわけではありませんが、逆に言えばあとからオフにしても、すでに学習パイプラインに入ったものは対象という読み方になります。

② いつでも変更できます。

プライバシー設定からいつでも切り替えられ、選択は即座に反映されると明記されています。今どちらになっているか確認する価値があります。

Claudeの基本的な使い方はClaudeの使い方を初心者向けに解説、料金体系はClaudeの料金プラン全比較にまとめています。

③ Gemini:オフにしても、人間が読む場合がある

Geminiは既定の保持期間が最も長く、かつオフにしたときの挙動が他社と違います

既定は18か月

Googleの公式ヘルプによると、Geminiアプリのアクティビティの自動削除までの期間は既定で18か月です。3か月・36か月・無期限(自動削除しない)に変更できます。

何もしなければ1年半残ります。 ここは明示的に変更する価値があります。

🔴 オフにしても72時間は保存される

[アクティビティの保存] がオフになっている場合でも、会話は最長で 72 時間アカウントに保存されます。この期間は、Google がサービスを提供し、フィードバックを処理するために設けられています。

「オフにしたから即座に消える」わけではありません。

🔴 オフでも人間のレビュアーが読む場合がある

ここが最も見落とされる点です。

[アクティビティの保存] の設定がオフの場合や、一時的なチャットを使用している場合でも、Google はユーザーへの応答や Google、Google のユーザー、一般の人々の保護のためにユーザーのチャットを使用します(人間のレビュアーによるレビューも含む)。

設定をオフにしても、一時チャットを使っても、人間が読む可能性は残ります。

Geminiの使い方と無料でできる範囲はGeminiの使い方を初心者向けに解説で扱っています。

「まったく保存しない」は上位プラン限定でした

3サービス以外も見ると、共通の構造が出てきます。

サービス 「保存しない/学習しない」の条件
ElevenLabs Zero Retention Modeはエンタープライズ向け。しかもAPI利用のみが対象で、Web UI経由は対象外
Notta プラン表で「AI学習なし」が明記されているのはエンタープライズのみ
CoeFont 「会話データがAI学習目的で再利用されることはない」のはPlusプラン以上

個人が契約できる価格帯では、「一切保存されない」という選択肢は基本的に用意されていません。

Nottaのプラン別の実際の中身はNottaの評判は本当かで検証しています。ElevenLabsとCoeFontの扱いはボイスクローンで自分の声を登録する前に確認する4つで比較しました。

実務でやること

設定は「入れておいて損はない」ものですが、設定だけを対策と呼ぶのは危険です。順番はこうなります。

1. 入力しないものを先に決める

これが唯一確実です。 設定は保持期間を短くしますが、ゼロにはしません。

入れないほうがよいもの:

  • 顧客の氏名・連絡先・契約内容
  • 未公開の財務数値、未発表の製品情報
  • 他社と結んだ秘密保持契約の対象
  • ソースコードのうち、公開していない部分
  • 他人の個人情報(自分のものと違い、勝手に預ける権利がありません)

2. 固有名詞を伏せる

文章の添削や要約なら、社名や人名を「A社」「担当者B」に置き換えるだけで、リスクの大半は消えます。AIの出力品質はほとんど変わりません。

翻訳や校正のツールにも同じことが言えます。無料の校正ツールがどこに送信しているかはAI文章校正ツール無料8選で扱いました。

3. 設定を確認する

  • ChatGPT:プライバシーポータルで学習をオフ。加えてライブラリのファイルを確認
  • Claude:プライバシー設定で学習への利用を確認(30日か5年かが決まります
  • Gemini:アクティビティの保存期間を18か月から短くする

4. ファイルの置き場所を確認する

ChatGPTのライブラリのように、チャットとは別の場所に残る仕組みがあります。削除したつもりで残っていないか、一度は開いて確認してください。

生成AIの「学習させない」設定まわりの落とし穴は生成AIとは?初心者が最初に知るべき3つでも扱っています。

法人プランで変わること(ChatGPTの例)

個人プランと法人プランでは、保持の考え方そのものが変わります。OpenAIの公式ヘルプに書かれている範囲で整理します。

項目 内容
Enterprise・Edu・Healthcare ワークスペース ライブラリに保存されたファイルは、ワークスペースの保持ポリシーに従って管理される(管理者が決められる)
ライブラリに保存されないファイル サポートされていないアップロードや一時的なアップロードのファイルは、チャットの保持設定とは独立して期限切れになる場合がある
Enterpriseでの既定 別の保持期間が適用されない限り、こうしたファイルは48時間後に期限切れ
内部バックアップ ファイルが非アクティブになった後も、最長30日間バックアップに残ることがある(セキュリティ上・法的義務でより長い場合を除く)

個人プランでは「管理者が保持ポリシーを決める」という選択肢自体がありません。 ここが法人契約の実質的な価値です。

⚠️ ただし法人プランでも「内部バックアップに最長30日」は残ります。どのプランでも即時消去にはなりません。

用途別:どこまで入れてよいか

ここまでの事実を、実務の判断に落とします。サービスの設定を変えるより、入力する内容を変えるほうが効果が大きいという前提で組んでいます。

用途 判断 具体策
文章の校正・添削 ほぼ問題ない 固有名詞を「A社」「担当者B」に置換すれば十分。品質はほぼ落ちません
議事録の要約 ⚠️ 内容による 社名・人名・金額を伏せる。未公開の意思決定が含まれるなら、そもそも入れない
翻訳 ⚠️ 内容による 契約書・NDA対象の文書は不可。公開予定の文書なら可
アイデア出し・構成案 問題ない 自社の未公開情報を前提に置かない書き方にする
コードの相談 ⚠️ 切り出す 認証情報・APIキー・接続先を必ず削除。ロジックだけを抜き出す
顧客情報を含む作業 🔴 入れない 他人の個人情報は、勝手に預ける権利が自分にありません
未公開の財務・製品情報 🔴 入れない 保持期間の話以前に、社内規程で禁止されていることが多い

判断に迷ったら、こう考えてください。 「この文章が、5年後に匿名化された形でどこかに残っていても構わないか」。Claudeの学習許可設定は、実際にそういう条件です。

翻訳ツールの送信先についてはAI翻訳ツール比較8選で各社の扱いを比べています。プラン別のデータの扱いはPerplexity Proは元が取れる?でも確認しています。

よくある質問

Q1. 学習させない設定にすれば、情報漏洩は防げますか?

防げません。 設定でできるのは「モデルの学習に使わせない」ことまでで、保存そのものは止まりません。ChatGPTは削除後30日、Claudeは30日または5年、Geminiはオフでも72時間保存されます。

Q2. チャットを削除すれば消えますか?

ChatGPTの場合、チャットは消えてもファイルは残ります。 アップロードしたファイルは「ライブラリ」に別途保存され、チャットを削除しても削除されません。ライブラリから個別に削除する必要があります。

Q3. 一時チャットを使えば安全ですか?

即座には消えません。 ChatGPTの一時チャットは学習には使われませんが、30日以内に削除という扱いです。Geminiは一時チャットでも人間のレビュアーが読む場合があると明記されています。

Q4. Claudeの5年保持はどういう条件ですか?

学習への利用を許可した場合です。許可しなければ30日のままです。対象はFree・Pro・Maxで、これらのアカウントから使うClaude Codeも含まれます。プライバシー設定でいつでも変更できます。

Q5. Geminiの保存期間は変えられますか?

変えられます。 既定は18か月ですが、3か月・36か月・無期限から選べます。何もしなければ1年半残るので、短くしておくのが無難です。

Q6. 完全に保存されないプランはありますか?

個人向けの価格帯には、ほぼありません。 ElevenLabsのZero Retention Modeはエンタープライズ向けかつAPI限定(Web UIは対象外)、Nottaの「AI学習なし」はエンタープライズのみ、CoeFontはPlus以上です。

Q7. 会社で使う場合はどうすればいいですか?

まず勤務先のルールを確認してください。 そのうえで、この記事の設定を適用し、入力しない情報を先に決めるのが順番です。法人向けプランでは保持ポリシーを管理者が設定できる場合があります(ChatGPTのEnterprise/Eduなど)。

Q8. 過去に入力してしまった情報はどうなりますか?

削除できるものは削除してください。 ChatGPTはチャットとライブラリの両方、Geminiはアクティビティの削除です。ただしOpenAIは「セキュリティまたは法的義務のためにより長く保持する必要がある場合」を例外として挙げているので、削除したから完全に消えたとは言い切れません

Q9. 法人プランなら即座に消えますか?

消えません。 ChatGPTのEnterpriseでも、非アクティブになったファイルは内部バックアップに最長30日間残ることがあると明記されています。法人プランの価値は「管理者が保持ポリシーを決められる」ことであって、即時消去ではありません。

Q10. 結局いちばん効く対策は何ですか?

固有名詞を伏せることです。 設定変更は保持期間を短くしますが、ゼロにはしません。一方、社名や人名を「A社」「担当者B」に置き換えるだけで、仮に残っても実害はほぼ消えます。しかも出力の品質はほとんど変わりません。

まとめ

各社の公式ヘルプから、「学習させない設定」の実際の効果を整理しました。

  • 🔴 「学習させない」と「保存されない」は別。設定で止まるのは学習利用だけです
  • 🔴 ChatGPTはチャットを削除してもファイルがライブラリに残る(公式に「別々に管理」と明記)
  • 🔴 Claudeは学習を許可すると保持期間が30日→最大5年。Claude Codeも対象
  • 🔴 Geminiは既定18か月。オフにしても72時間保存され、人間のレビュアーが読む場合がある
  • 「まったく保存しない」は上位プラン限定(ElevenLabsはエンタープライズかつAPI限定、Nottaはエンタープライズ、CoeFontはPlus以上)
  • 確実なのは「入力しない」ことだけ。固有名詞を伏せるだけでもリスクは大きく下がります

設定は今日5分で終わります。 ただし、それで守れる範囲を正確に知ったうえでやってください。

なお、この記事には広告リンクがありません。掲載しているのは各社公式ヘルプへの通常リンクだけです。

出典(2026年9月1日確認)

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